ポイントカードと帰属意識

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実家の寝室のカーテンのように完璧に光を遮らないせいか、最近は朝起きるとカーテンと窓の隙間から差し込む光が目に入る。ぼんやりとした意識の中で、もう家にはいないのだと思い出させてくれる。けれど、これには別の良さもある。一日の輪郭をより鮮明に感じられるようになった。まるで『PERFECT DAYS』で毎朝聞こえる寺院の掃き掃除の音のように。

最近、友人たちと何度か帰属意識について話をした。ある場所を好きになるとき、もはや故郷や他のどこかと比べる必要がなく、ただ純粋に好きだと感じられたなら、それは一種の帰属だ、と。しかしこういった感覚は、その土地の住人になってから初めて表れるものだ。では、異郷に足を踏み入れたばかりの人はどうだろう?よそ者として、どうやって溶け込み始めればいいのだろう?

やはり、ごみの分別から始めるしかないのだと思う。可燃ごみと不燃ごみの境界線を理解し、ペットボトルと「リサイクル可能なプラスチック包装・容器」は別物だと区別する。説明書を丁寧に読んで突然腑に落ちた瞬間、心の中で嬉しくなった。それがきっと、溶け込むための第一歩なのだろう。

数日前の夜、また吉祥寺に戻った。友人が勧めてくれたカフェのことを思い出した。以前、夕食前にそこでコーヒーを飲んだことがあって、その雰囲気がとても気に入っていた。前回訪れたときは、年配のご夫婦が愛犬を連れて一緒にコーヒーを飲んでいた。夕暮れ時、窓の外では人々がのんびりとこの通りを散歩していた。店内ではコーヒー豆とカフェオリジナルの服を売っていて、そこには「Light Up」と書かれていた。みんなが吉祥寺を好きになる理由が分かる気がした。

そんなことを考えているうちに、すっかり暗くなって、街灯も灯り始めていた。時計を見ると、閉店まであと30分。やはりコーヒーをテイクアウトすることにした。

コーヒーを注文したとき、店員さんが突然何か尋ねてきた。一瞬、キーワードが聞き取れなくて、とっさに「はい」と答えた。すると彼は小さなカードを取り出し、最初のマスに丁寧にコーヒーの種類と日付を書き込んだ。ポイントカードだった。

もしかしたら、ポイントカードも溶け込むための一歩なのかもしれない。これは、私がここに10回通ってコーヒーを飲む可能性があることを意味している。スタンプを集めて一度の割引を手に入れる。そしてその割引は、バッジのように、私がこの街とより深く繋がったことを祝福してくれるだろう。

一体、何枚のポイントカードがあれば帰属意識が生まれるのだろう?いつか朝、カーテンから差し込む陽の光と掃き掃除の音を感じながら、もう実家のカーテンの遮光性を思い出すこともなくなったとき、ようやく「家」という感覚を、別の街へと広げられるのかもしれない。

Yuren 2025年2月3日
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